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親からの援助が110万円まで非課税になる暦年課税制度とは

マイホーム購入にあたって親から援助を受ける場合、通常ですと贈与税の支払いが発生します。

しかし一定の条件の元で贈与税が免除になる制度もあります。

今回はそのうちの1つである「暦年課税制度」について解説いたします。

よく比較検討される相続時精算課税制度と併せてお読みください。

 

暦年課税制度の概要

暦年課税制度とは簡単に説明すると「年間110万円までの贈与なら、贈与税がかからない」というものです。

「数千万円ものマイホーム購入に対して110万円までなんて少ない」とお考えになるかもしれませんが「毎年」というのがミソで、使い方によっては非常に有効な制度なのです。

 

暦年課税制度のメリット・デメリット

ここで暦年課税制度を利用するメリットとデメリットを把握しておきましょう。

暦年課税制度はマイホームだけでなく、他の財産を生前贈与するにも向いていますので、知っておいて損はありません。

 

年間110万円まで何回でも非課税

暦年課税制度の大きな特徴は「何度でも年間110万円まで非課税になる」ということです。

しかも「受け取る人ごとに110万円まで非課税」ですから、1人の親が複数の子どもに110万円ずつ贈与してもOK。

誰にも贈与税はかかりません。

また何度でも非課税になるので、たとえば10年かけて1,100万円を贈与することもできます。

 

相続財産を確実に減らせる

一定以上の財産を相続すると、相続税がかかります。

相続税は「相続財産全体」にかかる税金ですので、複数の子どもたちが少しずつ財産を相続するとしても相続税が発生することはあり得ます。

暦年課税制度を利用して生前から財産を少しずつ減らしていくことで、いつか迎えるその日の相続税を抑えることができるのです。

 

肉親以外でも利用できる

相続時精算課税制度が利用できるのは「贈与をした年の1月1日において60歳以上である父母または祖父母」から「贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の推定相続人および子や孫」に対するケースに限られます。

しかし暦年課税制度には上記のような制限はかかりません。

マイホーム購入資金を援助してくれる親や祖父母が60歳未満の場合や、親や祖父母以外から援助を受ける場合には、暦年課税制度を利用しましょう。

 

110万円を超えると課税対象になる

非常に便利な制度ですが「年間110万円まで」と上限が決められていることが難点です。

一人に対して年間110万円を超える財産を贈与すると、超えた分には通常どおりの贈与税がかかります。

誤って110万円を超える金額を贈与しないよう注意しましょう。

 

大きな財産を贈与するには時間がかかる

暦年課税制度を利用して財産を贈与する場合、非課税となる範囲は年間110万円までですから、大きな財産を贈与し終えるには年単位の時間がかかります。

財産総額が多い人ほど、計画的に贈与していくべきでしょう。

 

暦年課税制度を利用すべき人

暦年課税制度の利用をおすすめするのは、主に下記のような人です。

 

マイホーム購入まで数年以上の時間がある人

マイホーム購入が数年以上先なことが決まっているなら、暦年課税制度を利用して購入費用を援助してもらいましょう。

大きな金額を一括で受け取れるわけではありませんが、数年かけて数百万円の資金を非課税で移動させられます。

 

援助してくれる親や祖父母の年齢が60歳未満の人

相続時精算課税制度が利用できないため、自動的に暦年課税制度になります。

親や祖父母がマイホーム購入を援助してくれると話が出たら、まずは現在の年齢を確認しましょう。

 

確実に節税したい人

相続時精算課税制度を利用した場合、贈与した財産はすべて相続時に課税されます。

つまり贈与された際に贈与税はかかりませんが、将来、相続税が発生する可能性があるのです。

一方、暦年課税制度は年間110万円の範囲なら贈与税も相続税もかかりません。

完全非課税で受け取れるので、確実に節税できます。

 

まとめ

暦年課税制度とは、年間110万円までの範囲なら贈与税も相続税もかからないお得な制度です。

一度に贈与できる金額はそれほど多くはありませんが、数年かけて移動させればマイホーム購入資金の大部分を賄えるでしょう。

購入資金援助の話が持ち上がったら、暦年課税制度が利用できないかご検討ください。

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